タイガーマスク vs ダイナマイト・キッド
かつて金曜夜8時代のお茶の間は、現在では、
信じられないぐらいの、活力に満ち溢れていた。
日本テレビ系列では、長く続く刑事ドラマ、
『太陽にほえろ』 が、新人刑事の活躍と、
名物殉職シーンで高視聴率をマークし、
TBS系列では、伝説の学園ドラマ、
『3年B組金八先生』 が、一大センセーションを、
巻き起こしていた。
その間に挟まれていた、テレビ朝日系列では、
プロレス中継を行っていたが、2大番組にあおられ、
人気が少し落ちかけていた。
そんな中、アニメを超越した、”四次元殺法” で、
少年ファンの心をとりこにしたのが、タイガーマスクである。
それまで見たこともない、華麗な動きや技の技術は、
プロレスが格闘技であることを、改めて示してくれた。
なかでも名物カードとなったのが、
ダイナマイト・キッドとの対戦である。
タイガーマスクの空中殺法に対し、
打撃や関節技を得意とした、キッドとの華麗な攻防が、
観る者をくぎ付けにしたのだった。
テレビ中継がある日の試合は、必ず、タイガーマスクの、
試合から行われるよう、組まれていたこともあって、
視聴率は回復し、新日本プロレスの人気は、
さらに確立されていくこととなる。
大柄な選手の、スローな試合に飽きていたファンを、
スピーディーな試合展開で、プロレスに引き戻した、
タイガーマスクの功績は、今も色褪せない。
その後、何代かタイガーマスクはいたが、
初代ほどのインパクトと人気を誇った選手は、
おそらく、今後も現れることはないだろう。